映画「思い出のマーニー」

あまり期待していなかったせいか、とはいえ周囲の評判はよかったのですが、その評判通り良い映画でした。やや設定オチの感がありますが、原作は児童文学でしたし、流れに身を任せてみてほどよく涙を誘われたのは好印象でした。 しかしながら、このストーリーの型というかはどこかで聞いたことがありまして、むしろこの作品は原型かも知れませんが、似たようなストーリーを小説かテレビドラマか何かの映画で聞いていたかもしれないですし、もしかしたら原作を読んだことあるのかもしれないとさえ思っています。単純に思い出せないだけですが、「そういえばどこかで聞いたなぁ」という思いが日に日に増してきています。 当初、ダブルヒロインということで百合映画かと騒がれていましたが、まったくそういうことではなくて、ヒューマンドラマあるいは家族愛に満ちたストーリーでした。 関心したのは脚本で、随所に伏線を張り巡らせながら、時にはトラップもあったりして、こちらも程よくストーリーの結末を予測しながら(謎解きをしながら)見ることが出来ました。個人的にはある程度前半で結末を予感させるフリに気づいたのですが、これはこれで脚本に上手く乗せられているのかもしれないです。 アニメーションはアリエッティに引き続き秀逸で、とくに主人公がよく転んだり倒れたりするのですが、多少大げさにコミカルに表現されていたと思います。細かいところのツッコミがありますが(それなりの年頃の娘が道端で倒れてたら普通はもっと心配するだろうけども)、米林監督の演出の「色」なんだろうなぁと思いました。 音楽の印象はそこまで強くなく、もう少し主張があっても良かったかなと思います。 音でいうと声優陣は絶妙な人選だったなと思います。ただの話題性ということではなくてとてもフィットしていたと思います。特に特徴的だったのは第3のヒロインの女の子。どこかで聞いた声だなぁと思ったら、最近の露出だとテレ東のドラマの「なぞの転校生」やauのCMに出演している子でした。すごく耳に引っかかるので、声の仕事も増えていくのかなぁと勝手に予感しています。 さて、これで宮崎監督以外はオリジナルの原作はないわけですが、ジブリもディズニーと似たような状況で、文学などを借景しながら映画作りしていくのがメインのパターンになっていくのかなぁと感じています。宮崎監督の存在が強すぎるので、ジブリでオリジナルの原作というのはなかなか難しいと思います。